室内の湿度から、建物の外へ

展示室の湿度を測れば、水の問題は分かるのでしょうか。文化省のルーヴル紹介には、室内の話に加えて、地面と組積造の壁に設置したセンサーが登場します。雨が地面や壁に及ぼす影響と、室内の湿度の変化を調べるには、それぞれの場所を観察する必要があります。

この観察に関わるのがREFRESHです。フランス博物館研究修復センター、C2RMFの公式案内は、2024〜2028年の研究として説明しています。対象はルーヴルだけではありません。ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿、ブルッヘのグルートフーズ博物館、英国のブレナム宮殿も挙げられています。

地面・建物・室内の三か所で水を調べる

C2RMFの案内では、水循環を地面と植生、建物、室内の三階層に分けて研究します。表の右列に、それぞれの場所で何を観察できるか、考えるための問いを添えました。

REFRESHが扱う水循環と、読み解くための問い
研究の階層本稿で考える観察の問い
地面と植生雨の後、建物の周囲のどこに水がたまるか
建物液体の水と水蒸気が、建物の材料とどのように関わるか
室内水蒸気と結露を、どの場所で調べるか

例えば室内のある場所で水分が見つかった場合、室内の湿度だけを記録した説明と、壁の状態や外の雨も記録した説明では、次に確かめられることが違います。「湿気が多い」で話を終えると、いつ、どこで、何を観察したかが残りません。この例は、研究の三階層を施設の観察に当てはめて考えたものです。

材料の試料は、何のためにあるか

文化省第2回の後半には、結露リスクの評価に使う材料の試料の写真が載っています。原典へのリンクから写真を見ながら、試料が何を調べるためのものかをキャプションで確認できます。建物全体の気候と、ある材料の状態は、観察する大きさが違います。試料の写真を見ただけで、建物全体の対策の効果まで読み取ることはできません。

写真は、出典欄にある文化省第2回の記事でご覧ください。個別の転載条件は未確認です。

研究の計画と、対策の効果を分ける

C2RMFの案内から確認できるのは、研究期間、対象施設、水循環の三階層という研究の枠組みです。今回、施設ごとの時系列データや、劣化が何%減ったかといった結果は確認していません。対策の効果を知るには、こうした測定結果まで確認する必要があります。

日本の施設に関心を戻すなら、建物内のどの場所で何を記録しているか、敷地や壁の観察と同じ日時で比べられるか、といった具体的な問いを立てられます。ただし、その記録から原因を判断したり改修を選んだりするには、建物や材料についての専門的な検討が必要です。

地図で地域の危険を調べた後、施設の内部で何が起きるかを調べる。REFRESHの三階層は、この二つの調査の間に、建物と敷地という観察対象があることを示しています。次の沿岸の例では、文化財の範囲と危険の範囲を、まず一枚の図で照らし合わせます。