セーヌ川から、収蔵の場所を移す
パリのルーヴルを思い浮かべると、宮殿の中で作品を展示する姿が浮かびます。展示室の外でも、多くの作品が収蔵庫で保管されています。ルーヴルが2025年1月に公表した施設紹介によると、以前のコレクションは68か所に分かれ、とりわけセーヌ川の増水にさらされていました。これが収蔵庫を外へ移す第一の理由でした。
移転先はフランス北部、リエヴァンのルーヴル保存センターです。2019年10月8日に開館した施設で、同記事は24万6,000点超、館のコレクションの88%を収蔵すると説明しています。一方、文化省の連載第2回は、移転した作品を22万点超と記しています。収蔵数と移転数は同じ集計とは限らず、二つの数字の差を追加移転の実績として計算することはできません。
空気を安定させる設備を、具体的に見る
文化省の記事には、緑化された屋根、日光が入らない収蔵庫、空気処理、そして「緑の光」が並びます。それぞれの設備には、作品を守るための役割があります。ルーヴル自身の施設紹介を読むと、湿度を監視するセンサーや、細かい穴を通して空気を均一に混ぜるダクトが紹介されています。
同じ記事によると、建物全体は20℃に保たれています。これはリエヴァンの運用温度です。他の施設で参考にする際には、収蔵品の素材や設備の条件も確かめる必要があります。
緑の光は、害虫を捕らえる装置
「緑の光」の正体は、insectronという害虫を捕らえる装置です。ルーヴルの記事は、特徴的な緑の光を出すこの装置を、木や織物などの有機素材の作品を害虫から守るための道具として説明しています。
温度と湿度を安定させることに加えて、虫による被害にも備える。収蔵品を移した先で続く保存の仕事が、この小さな装置から見えてきます。
移転先の住所だけでなく、空気を測る設備、空気を動かす設備、害虫を見つける設備まで見ると、保存施設が何をする場所かを具体的に理解できます。
写真と説明を照らし合わせる
文化省第2回には、施設の写真と石製の胸像、材料の試料の写真が掲載されています。写真のクレジットはルーヴルのサイトおよびArnaud Bouissou / Terraです。このページでは画像の個別の転載条件を確認できなかったため、原典で見られるようにリンクを用意しています。
原典の胸像のキャプションは劣化を気候変動の結果と説明しています。ただ、写真だけから劣化の原因や寄与の割合を確定することはできません。劣化の原因を詳しく知るには、測定や分析の結果も確認する必要があります。
文化財とリスクの位置関係を地図で調べた後は、その場所の保管条件にも目を向けたいところです。地図に載る位置と、建物内の保存環境は異なる情報です。次の記事では、ルーヴルなどの建物で水をどのように調べるか、REFRESHという研究の対象を見ます。